山での夜間行動について調べてみた(動物の生態から)
改めて、警戒すべき動物として熊やイノシシなどの生態行動を調べてみると、どちらも深夜にはあまり活動していない模様。熊は明け方、夕暮れ前後の時間帯が最も活発。深夜時間はほとんど活動していないという調査結果を見つけました(白山での生態調査)。深夜よりも昼間の方が活動強度が高い。またイノシシも本来は昼行性で、人の活動に影響されて夜間行動をとっているらしい。
これらを踏まえると、山での深夜行動において、危害を加えられる可能性が高い野生動物を恐れる必要性は薄い気がしてきました。まあ深夜行動するということは、自然と早朝も行動することになると思うため十分注意する必要は残りますが。
こんな観点から、夜間登山もアリなのかと思い直してみました。若かった頃、秋の羊蹄山を夜の7,8時ごろに単独で登ったことがありましたが、今思い出せば恐ろしい怖いもの知らずの若気の至りでした。
梅雨の合間に。。。坊抱岩
梅雨の合間に、坊抱岩に登ってきた。風が適当にあって、この時期にしてはベストな壁の状態だった。しかし、体調が悪すぎた。
最近話題になっている、クライミングアンカー問題について
1週間ほど前に、愛知県の鬼岩公園内の岩峰でクライミングアンカーが許可なく設置されていた件を発端に、全国各地で同様の報告がニュースを通して流れている。私の住んでいる地域においても、観光地となっている岩場で同様のアンカーが見つかったと報じられた。
この岩場は20年以上前にルート開拓されたのだが、観光地でもありクライミングを自粛する取り決めになっていた。その情報は耳に入っていたため、そのエリアでのクライミング(ロープを使ったクライミングや、ボルダリングを含め)は行わないよう配慮していた。しかし特にここ数年はネット上でこのエリアでのクライミング記事が多く掲載され、クライミングガイドとされる方もこのエリアでガイド業を行っている様子。人目につかない場所で行えば問題ないと判断されているのかもしれないが、個人的には釈然としない思いを持っていた。
クライミング人口もかなり増え、同エリアでクライミングをするのだろう風の人が多くなれば、当然周りから目に付くことは考えられたと思う。案の定、役所の偵察が入ったようで、近年設置されたと思われるクライミングアンカー(終了点のよう)が見つかったと報じられた。ボルダリングならアンカー設置はあり得ないため、このエリアの情報が多く出回って、それを見たクライマーの一部がこうした行為を行ったのではないか。
日本にはクライミングに適した岩場が残念ながら少ない。地形図の毛虫記号を探してはボロ壁でダメ、人目に付く(アプローチが楽)よさそうな岩場は国や県の記念物扱いでクライミング不可。そうでない岩場は民有地であったりなど、何しろ厳しい環境である。
ところで日本は国立公園、国定公園、あるいは記念物指定など、何も指定されていないところの方が少ないのではないかと思えるほどである。たとえば北アルプスの屏風岩や滝谷など古くからクライミングがなされてきたわけだが、条例に則ればアンカーの設置などは許可されないのではないかと思う。しかしこれらの場所においてアンカー設置の問題が発生したことはなかったと思う。今回問題となったエリアと、国立公園内の北アルプスの屏風や滝谷で何が違うのだろうか。私の推測であるが、北アルプスにおけるクライミングの歴史は条例(自然公園法、昭和32年制定)が定まる以前からのものであり、そこでのクライミング行為は黙認されているのではないかと思っている。
詰まる所、日本でのクライミングは常に周囲環境に対して気配りを忘れず、控えめ控えめで楽しんでいくのが、トラブルにならず長く続けられる最良の方法だと思っている。
稲子岳南壁を偵察に
今週も天気は不安定で、近場の北八ツへ遊びに行く。運が良ければ稲子岳南壁の左カンテを登ろうかとメットとクライミングシューズは持って行ったが、やはりガスが濃く時に小雨交じりで、取り付きの確認だけしてきた。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-905371.html
雨に濡れた苔は、緑鮮やか。
山のお勧め道具
最近使用している山道具の中で、なかなか感心しているものを二つ。
1. ファイントラック社の下着「パワーメッシュ」
このシリーズのTシャツを使用しているが、発汗量が多いときに汗冷えもなく快適なことに加え、土砂降りで体温低下が懸念されるような状況においても、体表面からの気化熱を抑えられるためか、保温性が良い。ペラペラな一枚だが厳しい条件で威力を発揮する優れもの。
2. スカルパ社のアプローチシューズ「クラックス」(写真はメーカーサイトより)
ちょっとしたバリエーションルートに行く際に、クライミングシューズまでわざわざ持って行かなくても済むように購入したシューズ。履き始めは全体に固い感じで今一つだったが、馴染んでくると適度な剛性とフリクションの良さが印象的。雨で濡れた岩場でのスリップ率の低さは好印象。登山靴でよくあるビブラムであるが、ゴム質はクライミングシューズのソールに近いもの。ただ先端形状が「つま先イン側」のため、私のような「つま先センター」寄りな足形だと違和感がある。またつま先が硬く厚みがあるため、シンクラックへトゥジャムすることが難しい。
気象リスクの回避
先週末の6/19に谷川連峰を縦走してきた。中盤の平標稜線から強風、オジカ沢ノ頭以降は強風とガス、しまいに朝日岳から白毛門までは風雨と、天候に悩まされた山行となった。
ヤマレコに記録を書いていて、自分の判断がどの程度正しかったのか、そんな思いを抱いていた。技術、体力、装備、天候という要素が判断基準に絡んでくるが、天候以外については問題なかった。天候については前日夕方にインターネット上で気象庁の情報を確認しているが、山岳周辺の天気、気温、分布予報、当日前後の天気図などをチェックする程度。その情報をベースに、現地合わせで判断することにしているが、今回は自分が予測していた以上に時間的、強度的に上回った。雷の発生がなかったことが幸いだった。10年ほど前の八海山でのちょっとした被雷の二の前を踏むところだった。
結果としては、一時的な強風雨ではあったが雷は無く無事下山できた訳だが、これが本当に正しい判断であったかと振り返れば、言葉に詰まるところがある。最もリスクが少なかったのは谷川岳から土合へ下山(気象リスクはほぼなし)。つぎに蓬峠での判断。土合へ新道を下山する方法があったが、雨という観点では湯檜曽川の増水が怖い。この時考えていたのがより天候の安定していそうな越後側への下山(状況次第で蓬から土樽、あるいは旭原)。私は多少の雨なら仕方がないという判断を下した(若干のリスクを抱えたつもりだった)。
なお私の気象知識レベルは、気象事象に興味があり天気図などから大まかな気象状況が推測できる、典型的な気象パターンはある程度把握できている、ただし気象予報士レベルの知識は持ち合わせていない(書籍読みっぱなし)、そんな程度。
100%リスクを回避したいなら山へ入らない。それでは登山行為が成り立たないので、ある程度のリスクを冒すこととなる。その程度は各人様々だと思う。ほぼ間違いなく晴れの時しか入山しない人、若干不安定さがあっても入山する人、雨や雪が降ることが予想されても極端に崩れそうもないのなら入山する人。私は基本的に初めから雨雪が予想される日は入山しない方針なのだが、今回のように長時間入山していて悪天につかまってしまうことがある。山の中にいてはどの程度悪化するのか不明確だし、進退をどう考え判断するか、その場での絶対正解は求まらないのだと思う。恥ずかしい言い分ではあるが、ある程度は運を天に任せざるを得ないというのが本音である。
結局のところ結論など出てこないが、こんなレベルの登山者であるが、極力他の皆さんに迷惑をかけないよう山を楽しんでいければと考えている。